関越インター入口近くに、夜になるとラーメンと書かれた赤い提灯が灯っているのを知っているヒトは多い。アタシもそういう質問をよく受けるのだが(笑)、そこにちゃんと店が存在するのを知っているヒトは意外に少ないようだ。なぜなら、そこは提灯がなければ外見はただの汚い掘っ立て小屋にしか見えないからである。
店の名は仙龍。知っているヒトが少ないのは、取材拒否店だからである。
さて、ネギラーメンと聞いてアナタが思い浮かべるのは、上図のようなラーメンではないだろうか。ラーメンショップ系の薄いスープに、筋に沿って千切りにしたネギをごま油の利いたタレで和えてある。
そんなつもりで仙龍に行き、ネギラーメンをオーダーしてみよう。店主からストップがかかる筈だ。お客さん、ウチのネギ、どんなのか知ってる? すごいよ。それでも敢えて注文してみるチャレンジャーなアナタを待ち受けているのは、驚きと後悔と諦念か(爆)。
おぢさんがおもむろに電動スライサーを取り出し、ネギを一本、二本、三本とスライスしていく。他のお客さんの分も切っているのだろうと思うところだが、ボールでタレと和えた中身は、全て一杯の丼に盛り付けられていくのだ。そして、それはアナタの目の前に置かれることになる。
スライスしたばかりのネギは、強烈に苦い芳香を放つ。丼に顔を近づけただけで、涙目になってくる。タマネギで涙を流したことはあっても、長ネギで流すなんて貴重な体験。ネギというのは、こんなに辛いモノだったのか。そんなことを思いながら無化調のスープをすすり、10人前以上を一気に茹でてやわらかくなっている麺をすするのだが、味などほとんどわからない。まったく、これでは自腹で罰ゲームをしているようなものではないか。こんなラーメン、もう二度と食べるものか……
戦いは終わった。麺とネギはやっとのことで片付けた。スープにはネギの味が染み込んでおり、とても飲めたものではない苦さになっている。胃の奥からネギの臭いが口いっぱいに広がる。しかし、アナタはいいようのない征服感に満たされている筈だ。それは最近、何かをやり遂げたという達成感を久しく味わっていないからかもしれない。
そしてアナタの身体は、燃えるように熱くなっている筈だ。ネギの薬効が効いてきたせいだろう。こういうのを、良薬口に苦しとでも云うのだろうか。そんなことを思ったアナタは、既にこの店のとりこになってしまっているのだ。そしていつの日か、再びこの味を求めて夜の浦所バイパスを疾走することになるだろう。
ラーメン二郎しかり、中本@上板橋しかり、仙龍またしかり。最初のインパクトの強烈な味というのは、えてして中毒性を伴なうものなのである。アタシはこれをラーメン二郎の法則と命名し、21世紀に語り継いでいきたいと考えている。
(2000.12.09)
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