帰ってきたカルトなラーメンたち

その15 ラーメンブームのあしあと

 遅ればせながら、群馬県にもとうとうラーメンブームが到来したようです。ファミリーブックの店頭にはこれが群馬のうまいラーメンが山積みされ、いつもは漫画や週刊誌を読みながらのびたラーメン食べてたおやぢ達が、いまはラーメン本を見ているのです。

 今日のお話もそんな風景のひとコマです。

めんくい亭@玉村町下新田店頭の掲示

めんくい亭@玉村町下新田店頭の掲示

 ラーメン本を見てやってくる客なんて一過性のものだと有名店主は口をそろえる。たしかに大ぜいの新規のお客さんがやってくるけれど、それもせいぜい1〜2ヶ月程度。そのあとは波が引くようにさーっとヒトが居なくなる。ラーメン本を見てわざわざ食べにやってくるのだからその後何度も訪れてくれることも期待できない。GWの高速道路の渋滞みたいなものである。東京や埼玉に住んでいれば渋滞には慣れっこだから、対処法も知っている。だが高速道路の渋滞とは無縁の群馬県ではそうもいかない。
 TVに出演しようものなら、状況はさらにヒドくなる。湯島のラーメン店では、あまりの大行列に入れたくもない食券機を導入せざるを得なくなったという。今まで会社帰りに一杯やっていた常連客は消えうせ、ラーメンしか食べない一見客の増加で客単価は大きく落ち込んだという。そのくせ、朝には店の前にゴミを積まれるいやがらせもあったというし、ここまで来るともはや暴力である。

 群馬県玉村町のラーメン店・めんくい亭にもそんな客がおおぜい押しかけた。今までも何度かラーメン本に登場したことはあるが、これほどの反響があったのは今回がはじめてだという。こんなに混雑しては常連客に迷惑がかかると一計を案じた店主は写真の張り紙をし、実際に10組くらいのお客さんにお帰りいただいたそうだ。中には「てめえ客の顔いちいち覚えているのか」と食い下がったヒトも居たらしいが、店主は「そういう商売やってんだよ」と一歩も引き下がらなかったという。

めんくい亭のラーメン
めんくい亭のラーメン

 店主は言う。「うちの店が開店したとき、お客さんはたったの3人だった。今はラーメン本効果で一時的に混雑しているけれど、いずれはその波もおさまる。その後も店に来てくれるのは、お客が3人しか来なかった時から店に来てくれたヒトだけだ。だからうちは常連客を大切にしたい」今後は、取材拒否することも考えているという。
 せっかくラーメン本見てやってきたのに追い返された客にはいい迷惑だろうが、みんなが同じラーメン本を見て同じ店に同じ時期におしかけたらどうなるかちょっとでも考えてみれば、リスクがあるのはわかろうと言うものだ。二度とこんな店行くものかと思うならそうすればよい。それは店主も覚悟の上での決断であるから、気を遣う必要はないということだけお知らせしておこう。
 なおカン違いのないように再確認しておくが、一見さんご遠慮くださいなのはあくまでも混雑時の話なのであり、とんこつラーメンを出していない昼間は空いていることを追記しておく。

 こんなトラブルが起こるようになったのも、しつこいようだが遅ればせながら(笑)群馬県に降ってわいたラーメンブームのあしあとなのであろう。当サイトでは、混雑状況に注意が必要と思われる店の場合は極力描写するようにしているから、ぜひ参考にしてリスク回避をしていただきたい。

 まあ、今までこのようなトラブルに遭遇したことがないであろう群馬県の人たちが騒ぐのは仕方ないにしても、その苦情を書き込まれた掲示板の管理人までが、尻馬に乗って一度も行ったことのない店を叩いているというのは、いかがなものか。あなたはそれだけ全国の店を食べ歩いてラーメンフリークを自称し、本まで出版しているのに、一度もそのようなシチュエーションに遭遇しなかったとでもいうのか。雑誌に掲載され一時的に行列店となった店の悲喜こもごもを見聞きしたことがないのか。そして方法は間違っているかもしれないけれど、店主が本当に自分の店を愛してくれる客を大事にする気持ちの表れを理解することができないのだろうか。
 百歩ゆずって上記のことがわからないとしても(笑)、自分で書き込みの事実関係を確認してみようとか、そういう気は起こらないんでしょうかねえ? イヤハヤ南友(笑)。

(この話はフィクションではありません(笑))
(2003.05.16)


 なんだか今回のコラムに対する反響を見ていると、こちらの意図と違うところでウケているようなので少々加筆する。

 店主が常連客を優遇することは、たいていの店で日常的に行われている。わかりやすい例がラーメン二郎で、常連客には一見客と同じ値段しか取らないがより大量のラーメンが提供されるのだ(笑)。
 また、そんな店主の武勇伝(笑)も今にはじまったことではない。一見客に限定裏メニューの提供を拒否したことで怒った客がとらさん会議室に苦情をぶつけて話題となったラーメン勇事件を記憶している向きも少なくあるまい。これは今回のケースに限りなく近いと言えよう。

 つまるところ、常連客が優遇され一見は差別されることに対して苦情を言っても、店の営業方針がそうなのだから改善される性質のものではない。インターネットでゴネれば誰かがなんとかしてくれるものではないのだ。いさぎよくあきらめるか、カオを覚えてもらうまでしつこく通い自分が常連となるかのどちらかしか対処法はない。

 群馬県にもようやくラーメンブームが訪れ、東京で日常的に発生している事件(笑)がこれから群馬でも増えていくことだろう。情報武装してリスクを回避すること、これが肝要である。

 最後に筆者のスタンスを述べておくが、めんくい亭の店主にはいろいろな情報を提供してもらったりしてるので、あまり悪く言いたくないのが正直なところだ。もちろん、ウチの掲示板にいくら苦情を持ち込んだってムダである(笑)。
(2003.05.18)

Text & Photo by ヴァイス

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