帰ってきたカルトなラーメンたち

その16 2004年群馬のラーメンを総括する

 気がつけば2004年ももうすぐ終わり。今年は群馬のラーメン店も質的なターニングポイントを迎えたように思う。2002年にこちらに引っ越してきたときに感じた絶望感を思えば、ずいぶん変わったものだとすら思える今日この頃。

 前置きはこのくらいにして、さっそく本題に入ろう。

Act.1 魅力的な新店の登場

 首都圏のラーメンブームを支えたパターンとして、
 1 まず飛びぬけておいしい店が登場する。
 2 その店にお客さんが集中する。
 3 二匹目のどじょうを狙って新店が進出してくる。

 このパターンで、数年前までラーメン後進県だった筈の埼玉や千葉のラーメン事情は一気に活性化した。
 そして今は、ラーメンブームの頃に首都圏の有名店で修行していた若手が故郷に戻って自分の店を出したり、全国各地に建設されたラーメン集合施設の影響で、ニューウェーブ系の味が地方へと拡散しつつある。

 群馬県の場合はこのパターンには当てはまらないようだが、それでも首都圏の有名店の味を見据えた新しい味を群馬に輸入してきた新店が話題になった。
 いまるやは、流行のくじら軒中村屋系統の味を思わせる鰹を前面に押し出したあっさり系でありながら、ガーリックオイルの風味を前面に出した塩味と特注の細麺でオリジナリティを出した。みどりは、誰もが知っている群馬県内の有名店で習得した技を遺憾なく発揮し、低コストながら上品で繊細な味わいを作り上げた(開店当初に出していた手打ちの太麺がなくなったのは残念だが)。
 あとは、栃木県小山市の一品香で技術を学んで玉村町に凱旋し、地域に合わせて味をアレンジした上で勝負してきたもいいセンいっている。

 高崎や前橋あたりにも、そろそろ首都圏のお店で腕を磨いた若手が凱旋してきて新しい店を開いてくれるものと期待している。

2004年の群馬を代表する2軒(左:いまるや@伊勢崎市 右:みどり@大間々町)

Act.2 攻める既存店と守る既存店

 再び首都圏の話になるが、既に新店が登場して地域のラーメン事情をかき回す時期は一段落しているようだ。郊外へ拡散した既存店は、現在生き残りに必死である。商品の味はおろか店名までも一新し、過去と決別して再スタートを切った麺家 うえだや、客の嗜好に合わせて主力メニューを細麺から太麺にシフトし、新作のカレー太麺が大好評で話題のあぢとみ食堂吹塚店などがその代表格だ。

 群馬県の場合、正直守りに入る店が多すぎると思う。固定客だけガッチリ押さえておけば、商売は成立するという判断であろう。そしてその判断はおおかた間違っていない。
 そんな中で一人気を吐くのが我らが(笑)海の家である。リニューアル開店してまもなく2ヶ月近い長期休業をしてしまい、出だしでつまづいた感は否めないが、本場九州に自ら赴きその結果を遺憾なく発揮した新作の熊本ラーメンは、今や味福神以来の人気メニュー・横浜ラーメンに迫る人気商品となっている。

 そして2004年のもうひとつのトピックは、遅ればせながらやってきた魚介系ラーメンの流行である。しかも新店ではなく、既存店が新メニューとして投入してきたのが特徴と言える。ぽれぽれ笑麺といった元々豚骨スープを出していた店がいちはやく節粉を使った新味の魚系ラーメンを発表してはいたが、やはり真打はだるま大使2号店の新作ラーメンであろう。残念ながら質の方こそ期待値には届かなかったが、あのだるま大使でさえも新味開発を余儀なくされる昨今のラーメン事情の厳しさが改めて伺える現象と言えよう。


左: 海の家の熊本ラーメン 右:だるま大使2号店のだるまラーメンパートIII

Act.3 県内概況

 それでは、各地域ごとの状況を追っていこう。

 まず高崎市だが、やまちゃん北関東麺類研究所がラーメン本でブレイクした影響で、駅西口がにわかに活性化してきた。さらに高崎問屋町駅の開業により、だるま大使わのやが進出して新たなマーケットが形成されつつある。
 だが、周麺などの一部を除くと、ラーメンの質が伴っていないようだ。マスコミ効果や店の移転などの話題性による賑わいなど、所詮は一時的なもの。そもそも、高崎駅前は車では不便な場所なのでよほど味がよくないと駐車場代まで払って食べに来てくれる県内の客は居ないだろう。高崎が電車ルートでは実質的に群馬の玄関口であることを考えると、もうちょっとレベルアップを図っていただきたいものである。

 前橋市はこれと言ってトピックになるネタがないが、下小出町付近の新店ラッシュは気に留めておきたい。要は海の家包囲網ってトコですか。

 今年最も躍進した地域は、伊勢崎市であろう。いまるやの大ブレイクは言うまでもないが、大勝軒ぐんまが意外な拾い物であった。まさに雨後の筍のごとく増殖を続ける東池袋大勝軒(ラオタの間では、大勝軒めぐりツアーを称して筍狩りと呼ぶくらいだ(笑))だが、質が伴わないのが残念なところであった(特に茨城方面)。だが、大勝軒ぐんまは首都圏でも通用するレベルに達している。
 現在の伊勢崎に穴があるとすれば、こってり系が弱いことだろう。隣の前橋には腐るほど豚骨ラーメン店があるのに伊勢崎はチェーン店しかなく、岳飛を除いて事実上壊滅状態である。ここで湘家クラスの新店が登場すれば、ブレイクは必至であろう。出店を考慮中の豚骨ラーメン店の皆さん、どーすか?(笑)

 太田市は新店ラッシュではあるが、正直どこも小粒と言わざるを得ない。既存店の人気はまだまだ磐石である。

 桐生は行くたびにいつも思うのだが、本当に食の嗜好が独特であると思う。みどりはこの状況をかき回すポテンシャルを持っていると思うけれど、おそらくこの地域はこのまま唯我独尊を貫いていくのだろう。

 藤岡や館林は、ぶっちゃけ何の変化もない(笑)。地域に強力なご当地が根付いていると、なかなか状況は変化を許さないようだ。

 市町村合併ラッシュとなる2005年はどのような年になるのだろうか。群馬のラーメンシーンが本当に活性化するのは、これからなのかもしれない。
(2004.12.08)

Text & Photo by ヴァイス

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